これが「言葉が詰まる」という難発性吃音を治す方法です


 

言葉が出てこない、言葉が詰まる。喋ろうとしても喉が締め付けられるような感覚になる。Word cloud for Stuttering
 
自分が言いたいタイミングで言いたい言葉が言えないという難発性の吃音は非常に苦しいものです。成人吃音者のほとんどは、この難発性吃音が表面化し、固定化している状態だと言えます。
 

この状態でやみくもにトレーニングをして吃音を抑えようとしたりしても、ほとんどの場合逆効果になります。
 
その理由は後で詳しく解説していきます。そしてそれと同時に、難発性吃音をどうやって治せばいいのか、という、
 具体的な取り組み方もお伝えしていきます。
 
 
 

1.難発性吃音を悪化させる致命的な間違い

 
 
吃音は非常にデリケートな問題ですので、慎重に扱わなければ
ちょっとしたことで悪化します。
 
特に難発の場合は、「なぜ言葉が詰まるのか」ということの
認識が誤解されやすいので、致命的な間違いを犯してしまいがちです。
 
難発性吃音を悪化させる要因としては、こんなものがあります。
 
 

1-1.無理に絞り出そうとする

 
 
言葉が出ないときに、その出ない言葉を無理矢理絞り出すよう
にして発声しようとすること、
 
これは難発をより固定化させてしまう恐れがあります。そうした
発声法や筋肉の使い方が癖として定着するからです。
 
無理に出そうとするのではなく、もっと楽な発声法で言葉を出して
あげることです。以下の記事を参考にしてください。
吃音治療に有効な3つの発声トレーニング
 
 

1-2.吃音を抑える・コントロールする

 
 
吃音を出さないように言葉を上手くコントロールしたり、吃音を
抑えながら話す練習や矯正は、ごく一般に行われています。
 
確かに表面的には吃音が減るので、効果的に思えます。しかし、
そうした矯正を行ってきた吃音者の話を聞いてみると、
 
「言葉に詰まって言えなかったら、という不安を抱えたままです。」
 
「吃音を抑える技術は向上したけど、なんだか余計に苦しいです。」
 
「いつも自分の喋りに注意を向けて、どもらないように神経を尖らせ
ていないといけない・・・。疲れます。」
 
 
こうした現実が実際に起こっているのです。これは彼らが特別だから
というわけではありません。ほとんどの吃音者がこのような状況にはまり、
難発をより重症化させています。(この記事の執筆者の僕も経験済みです。)
 
 

1-3.難発性吃音の真実・・・

 
 
なぜ、そうしたトレーニングや矯正で難発が重くなるのか。
 
そもそも吃音における難発という現象がどういった経緯で表面化
してきたのか、ということを考えてみてください。
 
幼少期、吃音を発症した最初の段階では、連発性の症状が主で、難発は
あまり表には見えません。
 
そこから成長して、自我が発達して周囲との境界が出来上がると、その
「あああありがとう」のような連発は隠したいと本人は思います。
 
誰かに指摘されたりすればなおさらでしょう。
 
隠すためには、吃音を一生懸命に抑えてどもらないようにしないと
いけません。どもらないように、どもらないように・・・
 
その結果、連発は影を潜めていきます。その代わりに、難発性の吃音
が表面化し、固定化されてくるのです。
 
わかりますでしょうか?難発は吃音を隠そう、抑えようとする意識的・
無意識的な意図によって起こり、持続しているということです。
 
だとしたら、吃音を抑えるための矯正が、難発を重症化させるという
結果にも納得がいくはずです。
 
 

1-4.難発性吃音を治す最終的な決め手は心因性

 
 
トレーニングや矯正で吃音の問題を本質的に解決することは難しい
です。難発性吃音の場合なら、なおさらです。
 
言葉が詰まる、出てこない・・・そういった目に見える現象は吃音
の問題のほんの一角に過ぎません。
 
その現象の裏には、実に多くの要因が働いており、それが言葉が
詰まるという難発の現象を引き起こしているのです。

無題図形描画

 
 

 

 

 

 

 

表面的な現象を取り除くために、トレーニングや矯正を行ったと
しても、より深い部分の問題にもアプローチしていかなければ、
 
ほとんどの場合上手くはいきません。
 
「だいぶ吃音は軽減したけど、あと一歩、何かのキッカケがあれば・・・」
 
そういう場合には、最終的な決めては心因性の問題ということです。
 
それについて重要なことを、次の章から説明していきます。
 
 
 

2.難発性吃音を治療するために重要なこと

 
 
吃音における心因性の部分は、いくつかの要素が関係していますが、
その中でも特に、難発性の吃音治療のために重要な要素があります。
 
それを今から見ていきましょう。
 
 

2-1.難発性吃音の背後にある、2つの対立する意図

 
 
難発で言葉が詰まるという現象に大きく関係しているもの、それは
あなたの中にある2つの対立する意図です。
 
下の図を見てください。
 
無題図形描画 (1)
 
 

 

 

 

「よし、話すぞ!」と思ったとしても、一方で「どもるのは嫌」、
「話したくないな・・・」という思いが存在しているということです。
 
このような対立した、2つの矛盾した意図、内的葛藤が言葉を詰まらせる
のです。ちょうどお互いが足を引っ張り合っているイメージでしょうか。
 
ここが一致しているときは、発語に際しての予期不安は起こりませんし、
したがって言葉に詰まることもないのです。
 
 

2-2.吃音を受け入れる

 
 
で、
 
この対立する意図をどのようにして一致させていけばいいのか?、と
いうことですよね。それには1つしかありません。
 
「吃音を受け入れる」
 
これです。吃音を、受け入れる。
 
多くの方は吃音を受け入れるという提案に拒否反応を示します。ですが、
知ってください。
 
吃音というものにネガティブな認識を当てはめている状態では、決して
あなたの内面の矛盾した意図は解消されません。
 
難発性吃音を引き起こす2つの対立した意図は、吃音という存在を拒絶
しているが故に、持続しているのです。
 
 

2-3.2つの意図の一致が難発性吃音を治すカギ
 

 
もし、あなたが吃音という存在を受け入れることが出来たなら、内面の
矛盾した意図は解消されていきます。
 
「話そう」という目的に向けて、全ての意図が同じ方向に一致するので、
内的な葛藤を抱えることなく、スムーズに言葉が出てきやすくなります。
 
過度な難発性吃音がだんだんと治っていくのです。
 
対立していた意図が1つに統合されることによって、言葉を発する際の
躊躇や迷いが消えていくということですね。
 
 
 

3.難発性吃音の治療のための具体的取り組み

 
 
吃音を受け入れるといっても、「どうやって?」という当然の疑問が
あるかと思います。
 
「吃音を受け入れなさい」とだけ言われて、「はい、受け入れました。」
と簡単にはいきません。具体的な方法論が必要ですね。
 
それを今から説明します。
 
 

3-1.矛盾した意図の統合治療

 
 
言葉が詰まるという難発性吃音を解消するために、あなたには
内面の矛盾した意図の統合、という作業をやってもらいます。
 
難しいワークではありませんが、環境は整えてください。1人、
誰にも邪魔されない静かな環境を確保してから行ってください。
 
そして、
 
椅子を2つ、適当な距離に向かい合わせて並べてください。その椅子
は、それぞれあなたの中の2つの意図(人格)だと思ってください。
 
つまり、1つは「話したい!」という意図(人格)。もう一方の椅子は、
「話したくない!」という意図(人格)。
 
それぞれを表しています。
 
 

3-2.それぞれの立場から交互に発言する

 
 
これからあなたにやってもらいたいことは、それぞれに意図(人格)の
椅子に交互に座りながら、そこから発言をしていくということです。
 
一方の意図から、もう一方の意図に対して交互に発言をしていきます。
 
何を発言するのか、ということですが、その意図が持つ目的や、目の前の
もう1つの意図(人格)に対する怒りや悲しみといった気持ち、憤り、
 
そういったことを率直に伝えていってあげてください。

無題図形描画 (2)
  

なぜ、このようなことをするのかという理由ですが、
 
2つの対立する意図は、十分に攻め合うと、だんだんとお互いを認め、許し合う
感覚を感じることが出来るからです。
 
内面の意図の自己一致が起こり、そうなると内的葛藤が解消されるのです。
それによって自由な発語が取り戻され、難発性吃音も和らいでいきます。
 
・私はどもりながらでも話したい!なぜなら・・・
・私はどもりたくない!なぜなら・・・
・あなた(もう一方の意図)に対して○○なふうに感じている・・・!
・私の目的は・・・・
 
 
このような発言を交互に繰り返し、それを十分にお互いのことを認め、許し
合うような感覚を感じられるまで続けます。
 
 
 

難発性吃音治療のまとめ

 
 
最後にお伝えしますが、2つの矛盾した意図は、もともとは同じ1つの
存在だったのです。別の言い方をすれば、
 
どもることと、普通に話すこと、
 
これも対立する概念ではなく、同じだということ。どもることは、話す
という行為の一環であって、本来は自然な身体の反応です。
 
それを対立概念として捉えることにより、内面の意図が対立し、葛藤を抱え、
言葉を不自由にさせていったのです。
 
その対立する意図を一致させることを、今回は行ってもらいました。
 
難発性吃音の治療にとって非常に大事なことですので、何度も復習してもらえ
ればと思います。

 

 


Comments

手塚 匠 にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>