あがり症を治療するための3つの戦略


人前で話すのが死ぬほど緊張する、上手く話せなくなる、他人が怖い、、、そんなあなたのために、あがり症の具体あがり症を治す3つの戦略的な治療法のステップをお伝えします。

昔から行われている、確実に効果のある方法です。これを実行すれば、あなたのあがり症の症状や悩みがだんだんと緩和されていくことでしょう。

ここではまず、あがり症を形成する脳のメカニズムについて説明します。その後で、1人でも実行できる具体的な治療方法をお教えしていきます。

 

1. あがり症治療に密接に関わる脳の仕組み

まず、あなたの脳がどのようにして不安や恐怖を引き起こしているのかを知りましょう。このことを知ることが治療の第一歩です。つまり、あがり症は外部の圧力が引き起こしているのではなく、あなた自身が引き起こしているのだと知るのです。

あなたは「あがらされている」のではなく、自分で自分を「あげている」のです。これはあがり症が外部の要因によって決まるのではなく、自身でコントロールできるものだということを意味します。そのことを自覚することが大切です。

では、不安や恐怖を引き起こす脳の仕組みについて見てみましょう。

 

1-2. 情報の選別

あなたはいま、たくさんのモノが視界に入っていると思います。パソコンの画面、文字、部屋の家具や時計、その他いろいろな視覚情報。さらには外の車の騒音、風の音、ラジオのBGMや、コーヒーの香りなど、、、

しかし、それらたくさんの情報全てに同等の注意を払っているわけではないはずです。あなたの脳は全ての情報を受け入れることはしません。そんなことをしたら、すぐに脳は機能停止してしまうでしょう。

あなたの身体の器官が捉えた情報の多くは、意識にのぼる前に脳のフィルターにシャットアウトされ、ごくわずかな情報だけを選別して受け入れているのです。

どんな基準で脳が情報を選別しているのかは、あなたの価値観や信念、過去の経験などが関わっています。そのときの感情や微妙な気分・体調の違いによっても、基準は変わってくるでしょう。

この脳の情報の選別プロセスがまず1つ。

少し具体例を挙げましょう。大勢の人前で話をする場面を想像してください。大きな会場で、たくさんの聴衆がいます。その会場に入った瞬間、あなたはどんな情報を優先的にキャッチするでしょうか?

  • こっちを見ている大勢の聴衆
  • 会場の照明の明るさ
  • マイクの位置や壇上の高さ
  • 会場の空気感、雰囲気
  • 隅に置いてある植物
  • 胸やお腹あたりの緊張感、身体感覚

 

などなど。そうやって情報を選別し、一部の情報だけを受け入れた後は、、、

 

 

1-2.選別した情報に対しての意味付け

情報を選別した後、脳はその情報に何かしらの意味を与えます。これが意味付けです。

先ほどの例で考えてみましょう。

あなたは大勢の聴衆を見て、「みんなが恐ろしい目で僕を見ている、、、僕の失態に目を光らせているんだ、、、」と、あなたは思うかもしれません。あるいは、「みんな真剣な姿勢で聴いてくれているぞ」というふうに思うかもしれません。

これが情報に対する意味付けであり、この意味付けの違いこそがあなたの感じる感情の違いなのです。不安や恐怖を感じるのか、それともやる気や喜びを感じるかは、情報にどんな意味付けを行うかによって決まるのです。

 

1-3. 脳の認知システム

このような、選別と意味付けのプロセスによってあなたの感情は形成されます。このような脳の認知のプロセスはほとんど一瞬で、しかも無意識で行われるので、感情が突然向こうからやってきて、勝手にあがってしまったように感じるのも無理はありません。

しかし実際には不安や恐怖の感情を作り出し、あがり症を生み出しているのはあなた自身の脳なのです。あなたはこの選別と意味付けの認知のプロセスに変化を起こすことで、あがり症を手放すことができます。

 

2. あがり症を悪化させる認知の癖

さらに詳しく、あがり症を形成し、そして悪化させる認知の癖について解説します。ここをよく理解しておくことで、あがり症をこれ以上悪化させないようにするために注意すべきポイントがハッキリとします。

 

2-1. 極端な情報選別

あがり症になると、情報の選別が極端になる場合が多いです。周りに1人でも批判的な目をしているような人がいると、「みんなが僕のことを批判している」と捉えてしまうことがよくあります(実際にはほとんどの人が好意的な目で見ていたとしても!!)。

あるいは、自分の欠点「だけ」に注目したり、、、

あなたに出来るアドバイスは、自分が見ている「怖い世界」は現実ではないということ、そしてもっと広い視野を持ってみるということです。

 

2-2. 一般化

上の例、たった1人批判的な目をした人がいただけで、「みんが僕のことを批判している」と捉えてしまったものですが、これが一般化と呼ばれるものです。たった1つの出来事、事象が「全て」だと思い込んでしまうのです。

  • 僕は”いつも”人前で話すことに失敗している
  • “絶対に”あがってしまうに決まっている
  • “みんなが”僕をバカにしている

「いつも」「絶対に」「決して」「みんなが」、、、こういうフレーズ、あなたの口癖に多くはないですか?

 

2-3. 自分が悪いと思い込む

あがり症の人は他人を責めるよりも自分を責める。自分を正当化するために他人を必死に責めるようなことは愚かです。しかし、自分を責めることは不要なことです。

「あの人が不機嫌になったのは自分が悪いからだ、、、」

「みんなが無関心だったのは、僕の話し方がヘタクソだったからだ、、、」

それは本当にそうだと言い切れますか?

 

2-4. 上手くいった点は無視し、失敗だけを過大評価

上手く何かをやったときには、「たまたま成功しただけ」「運がよかったから」と片付け、逆に失敗したときには「僕は本当にいつもダメだ、、、」と、それを過大に評価することもよく見られます。

この根底には「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」という、あがり症の人に共通する信念(ビリーフ)が存在しています。

 

2-5. 根本原因、、、ビリーフ

いま信念(ビリーフ)という言葉が出てきましたが、これまで見てきた脳の認知の癖は、全て、この信念と呼ばれるものにコントロールされているのです。

「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」

このような信念が、心の奥底に深く根付いているからこそ、、、

  • 自分の価値を下げるような、批判的な人や言動にばかり意識がいってしまう
  • 「いつも人前で話すのに失敗する」という結論を下してしまう
  • 自分のことばかり責めて、悪い方向に考えてしまう
  • 上手くいったことを無視して、失敗ばかりを取り上げて自分の価値を下げてしまう

 

3. あがり症の治療はどうするの?

これまでの脳の認知の仕組みや、信念(ビリーフ)の説明を前提として、あがり症の治療は何をすればいいのか?

非常にシンプルです。3つのフェーズに分けられます。

  1. 誤った信念を取り去る
  2. 適切な意味付け(物事の捉え方、解釈)が出来るようにする
  3. 恐れを克服する

 

 

4. あがり症の根底にある、誤った信念を取り去る

「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」

この信念を取り去ることはとても意義があります。なぜならここの部分を変えることで、自動的に物事に対する意味付け、認知の仕方も変化するからです。逆に言えば、この信念を持ったまま意味付けや認知だけを変えようとしても難しいのです(どんな意味付けや認知をするかは、信念に強く影響されるので)。

信念を変える、いくつかの方法を提示します。

 

4-1. ビリーフ・チェンジ

紙とペンだけで実行できる、簡単なエクササイズです。

 

1、あなたを制限している信念を疑う

「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」、、、これは本当のことか、真実なのかと、自問します。絶対に、100%正しい客観的な真実であると断言できるのか、それをよく自問してください。

答えを言ってしまえば、あなたの抱いている信念は真実ではありません。全くの勘違い、思い込みです。

 

2、その信念をなぜ真実だと信じているのか、その証拠を書き出す

思いつく物を書き出します。

 

3、その信念が真実ではないと、そう言える証拠は何かを自問し、書き出す

思いつく物を、何個か書き出します。

 

4、もし、この信念を持ち続けていたら、どうなってしまうか、、、を書き出す

5年後も、10年後も、この信念を持ち続けていたらどうなるか、、、想像してください。その感情的な「痛み」を信念に結びつけるのです。

 

5、もし、この信念を全く信じていなかったとしたら、どんな人間になれるかを書き出す

「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」、、、これを全く信じていなかったとしたら、、、あなたはどんなふうになれるでしょうか?自由に書き出しましょう。

 

6、この信念を持ち続けるのか、それとも捨て去るのか、、、決断をする

誤った信念を持ち続けて、痛みとストレスとフラストレーションに耐えながら生きるのか、それともこれを手放して自由になるのか、、、どちらを選ぶのか、決断をしてください。

 

7、新しい信念を作る

例えば、「私は価値ある存在だ」「自分の価値は自分が決めるものだ」「私はありのままで、素晴らしい」「私には力がある」、など、、、。

 

8、新しい信念を体験する

仮に、新しい信念を持つことになったら、どんな物の見方や意味付け、感じ方、考え方をし、どんな行動をするだろうか、、、それを想像し、書き出します。

また、日常の生活の中でも、新しい信念が既に定着した「つもり」になって、その信念を持っているかのような思考や振る舞いをしてみましょう。それを続けていくと、だんだんと新しい信念が定着していき、古い誤った信念は剥がれ落ちていきます。

 

 

4-2. 深い傷を癒すために・・・

「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」、、、そんな信念を取り去る別の方法があります。これは感情を強く刺激するので、途中で辛くなったら中断しても構いません。でも、それだけ大きな変化を心身に起こす可能性があるということです。

ポイントとしては、何も考えないことです。頭であれこれ考えません。ただ、感じていてください。自分の感情、気持ちに、なるがままにまかせていてください。

 

静かな場所に、1人、こもってください。楽な姿勢で、椅子やソファーに腰掛けましょう。

そこで、あなたの目の前に、1人の人物がやって来るのを想像してください。

それは、小さな、子どものころのあなたです。

 

その子どもと、あなたが、対面します。

 

しばらく、その子どもと一緒にいて、そしてどんな気持ち、感情があなたに涌き起こってくるか、それを十分に感じていてください。ただ、感じていてください。

 

 

5. 意味付け(認知の仕方)を変えてあがり症を治す

 

意味付けの力は重要です。あなたに影響を与えるのは、出来事そのものではなく、あなたがその出来事にどんな意味を与えたか、、、なのです。

どんな意味付けをすればいいのか?答えは単純で、都合のいい意味付けをするということです。あなたにとって都合のいい解釈をするのです。そして都合の悪いことは無視できるようになることも!(これは大切)

もちろん、いつも上手くできるわけではありません。状況によってはそれが難しいこともあるでしょう。ですが訓練と習慣化によって、あがり症を生むようなネガティブな意味付けをする癖を弱めて、自分にとって都合のいい解釈をする癖を強化することはできます。

いくつか、方法を教えます。

 

5-1. 失敗を無視して、上手くいったことだけに注目する

これは最も重要なことなので、最初に持ってきました。あがり症を悪化させる悪習は、上手くいったことを無視して、失敗だけに注目することです。なら、その反対のことをやればいいのです。

事実、失敗に注目して、なぜ上手くいかなかったのか、その原因を探ってもあがり症は治りません。悪化するだけです。失敗の感情を脳が強く記憶してしまうからです。

 

失敗には注目しません。掘り下げません。放っておけばいいのです。失敗に注目することはあなたを惨めな気持ちにさせて、あがり症を酷くさせるだけです。なので、上手くいったことだけに注目するようにしましょう。

上手くいったことには大いに注目し、取り上げ、喜び、その感情を脳に記憶させるのです。

 

5-2. あがり症の症状は自然な反応

あがり症における様々な身体症状、例えば心臓がドキドキする、声が震える、赤面する、大量の汗をかく、、、。それらの症状を異常なものと見なしていませんか?確かにあまり心地よいものではないでしょう。ですがそれはおかしなものではありません。自然な身体の生理現象ですし、あなたは正常です。

普通の人でも、そのような症状は起こります。ただ、あなたは少し普通の人よりも神経が敏感に生まれついているだけです。だから恐怖や不安などの刺激に身体が反応しやすいのです。それだけのことです。程度の差であって、普通の人と比べて異常なわけではないのです。

そんなふうな視点から、過去のことを見つめ直してみましょう。

「あのときは声が震えて足も手もガタガタだったけど、、、でもしょうがなかったんだな。敏感な神経を持ってるんだし。別に異常なことではなかったんだ。」

都合のいい解釈で、上手く過去の経験をリフレーミング(再構築)することは、次に同じような場面に遭遇したときのあなたの思考や行動を変えることができます。

 

5-3. 広い視野を持つこと

あがり症の人は視野が極端になりやすい傾向にあるということは、最初に言いました。視野が狭いと、現実的な思考ができなくなったり、偏った結論を下しやすくなります。

たった1つの出来事から、全てを決めつけてしまわないようにするために、、、このワークを行ってみましょう。

 

1、不安や恐怖を感じる状況でいつも思うことを書き出す

例えば、人前で話すときに声が震えてしまったり、言葉に詰まったりした状況。そのとき、どんな思考が頭を巡るかを書き出すのです。

  • 「声の震えにみんな気付いたに違いない」
  • 「おかしな人だと思われたかな」
  • 「話が下手だと酷評されてしまうだろうな」

 

2、その状況で別の考え方はできないか?

続けて、「もっと楽になれる考え方はできないかな?」と自問しましょう。同じ状況で、もっと広い視野の、柔軟な思考はないかどうか、、、それを見つけて、書き出していきます。

  • 「別に誰もたいして気付いていないだろう。多くの人間は鈍感だし。」
  • 「おかしいヤツだと思う人なんて、全体の1割以下しかいない。」
  • 「酷評されるほどの震えではなかった。第一、誰も気付いていないはずだ。」

 

 

6. あがり症の恐怖を克服する

4と5のフェーズでは、それぞれあなたの中にある信念と、あなたの物の捉え方、認知の仕方を修正する方法を行いました。これでも症状は大きく緩和され、気持ちも楽になっていくでしょう。ですがそれだけでは十分ではありません。

あがり症の恐怖、つまりは「またあがってしまうんじゃないだろうか・・・」という恐怖心を克服して、思考レベルではなく感覚レベルで「怖くない」ということを理解する必要があります。

それには頭で考えているだけでは不十分です。実際に不安や恐怖心を抱く対象に立ち向かい、その実体験の中で「なんだ、それほど怖くないじゃないか」と脳に覚え込ませていくのです。これによって不安や恐怖は確実に軽減されていきます。

 

6-1. 不安を感じる状況をいくつかピックアップ

あなたがどんな場面で、どんな状況で不安や恐怖を感じるのかをピックアップしましょう。「あがってしまうのではないか」と不安を感じて、行動を躊躇してしまうような場面は、どんな場面ですか?

  • お店に電話をかける
  • 映画館の窓口でチケットを買う
  • 会社の朝礼でスピーチをする

など。

 

6-2.  難易度順に並べ替える

ピックアップしたものを、難易度順に並べ替えます。必ず不安や恐怖の度合いが低いものから実践していく必要があるからです。

 

6-3. 易しいものから少しずつ実践していく

実際に、難易度の低いものから実践していきます。不安や恐怖を感じる対象に勇気を出して立ち向かうのです。必ず易しいものから実践してください。それほど抵抗がないものから行うことです。

そして「繰り返し」も大切です。同じ対象であっても、何度も何度もその場面を体験することで、恐怖心はその繰り返しの回数に比例して薄まっていきます。

あがり症の治療において、この「実際の体験」に勝るものはありません。実際に不安に立ち向かい、その体験の中で「これは怖くない」と体感覚レベルで実感すること、、、これがあがり症の恐怖を拭い去ってくれるのです。

 

あがり症治療のまとめ

 

あがり症の治療は、、、

  1. 誤った信念を取り去る
  2. 適切な意味付け(解釈、認知)の仕方を身につける
  3. 恐れを克服する

この3つのフェーズを1つずつ実践していくことが確実です。この3フェーズを律儀に行っていけば、あなたのあがり症は大きく緩和され、やがて解消されていくでしょう。

 


Comments

  1. ローズ says

    スピーチ中はどんなことを考えながら言えばいいんですか?
    ただ読んでるだけでokなのでしょうか…?

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